小さなお店がぎっしり並んだ市場なので、番地らしいものはあまり当てになりそうにない。だから住所を見ながら靴屋を探すのは無駄だろうと思い、これじゃなかなか見つからないなと思っていたら、意外に靴屋はすぐに見つかった。果物屋や食べ物屋に囲まれるようにして、小さな靴屋が目に入ったのだ。看板を見るとお店の名前も合っている。
彼女が言っていた通り、軒先にたくさんの靴が積み上げられた、おしゃれでもなんでもない古くて小さな靴屋だ。とても『地球の歩き方』に載っているとは思えない感じのお店である。
店先では、いかにも地元の人っぽいおばさんが靴を選んでいたので、夫と息子を近くに待たせ、私も靴を選んだ。友人が欲しいといっていたタイプの、スリッパみたいな靴はすぐ見つかった。靴の色や刺繍の模様など色々なタイプのものがあり、サイズも色々あるみたいだ。幸いなことに、友達は身長も足のサイズも私と似たようなものなので、私がはいてみてサイズがあうものを買えば良い。とりあえず私好みの模様の靴をいくつか選んだ。友達が言っていたように、けっこう素敵な靴だ。
さっきまでいた地元のお客さんはいつの間にかいなくなり、お店のおばさんが私のところにやってきた。さすがガイドブックに載るほどだからか、このお店は観光客がよく買いにくるのか、おばさんは慣れた様子で片言の英語で私の相手をしてくれる。言えばサイズが違うものもすぐに用意してくれた。
気に入ったタイプの靴を選び出し、1足いくらかと聞いてみた。するとおばさんは「350元(1200円くらい)」だという。ちょっと驚いた。なぜなら、友人が言っていた値段はたしかもっと安かったはずだからだ。350元といえば日本円で1000円ちょっとになってしまう。日本での値段にすれば安いけど、友達の言っていた値段は、たしか2~300円程度だったような気がしたのだ。
ためしに5足買ったら少し安くしてくれるかと聞いてみたら、おばさんは断固とした調子できっぱり「ハンドメイドだからこれ以上安くできない」と言った。予想以上に高い値段に、「もしかしてふっかけられているのかもしれない」という不安と、非日常の雰囲気の市場の熱気と賑やかさに囲まれ頭がふらふらしてきた私。「どうしよう」と思ったが、友達に頼まれた靴である。
それに都合の悪いことに、友達にその話を頼まれたときに、細かくメモを書いた紙を私は日本に忘れてきてしまっていた。だから1足2~300円くらいだったというのも、もしかしたら私の思いすごしで、1000円くらいするものなのかもしれない。
靴を前にして、こんなことを考え、しばし迷う私であった。友達には2~3足買ってきてほしいと頼まれていたが、3足買えば3000円以上である。今まで過ごしてきた台湾の物価からすれば、相当な金額のように私には感じられた。
が、迷っていても仕方ない。友達に頼まれたものだ。結局4足の靴を買って帰ることにした。友達には3足、そして自分用に1足だ。おばさんに袋に詰めてもらい、夫のところに戻ったときは、市場の緊張とぼったくられたのではないかという疑いと疲れでぐったりしていた。
その後こんな思いを持ちながら上の空で歩いていたので、市場の様子があまり目に入らなかったほどだった。気づいたら反対側の方から大通りに出ていて、自分たちがどこにいるのかよくわからないくらい私はぼーっとして歩いていたのだ。
が、よくよく考えてみれば4000円くらいの金額である。もしぼられていたとしてもたいした金額ではない。それにもしかしたら、正当な金額でもあるかもしれないのだ。そう考え、もうこのことはこれ以上悩まないことにし、次の目的地に向かって進むことにした。
ちなみに実際、ホテルに帰ってからじっくり『地球の歩き方』の靴屋の説明を読んだら、「1足250~450元前後から」と書いてあったので、どうやら正当な値段だったらしい。
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