セブンイレブンのところまでは、バスが通るような通りなのだが、狭い路地を入るとすぐにそこはまったくの別の世界だった。まるで別の時代に来てしまったかのような雰囲気だ。狭い路地の両側は、食べ物やお土産屋など様々なお店がぎっしりと立ち並んでいる。
しかも山の斜面にある町なので、平らな路地ではなく、アップダウンもけっこうある。狭い上にお店などでぎっしりと囲まれているため、外の世界とは切り離された空間となっていて、それがたぶん不思議な雰囲気をさらに強くしているのだと思う。そしてその狭い路地にたくさんの観光客がいるので、まるでお祭りのような賑やかさなのだ。こういう雰囲気が大好きな夫はもう大喜びだった。
一方私は、この路地の入り口に入った途端、忘れていた10年前の九份(きゅうふん)の記憶が断片的によみがえってきた。記憶と言うかあの時感じた感覚とかが。今までずっと思い出さずにいたけど、ここの景色を見た途端、頭の中によみがえってきたみたいなのだ。
そして記憶の不思議さを感じた。このように、本人も頭の中に記憶としてあるとさえ気づいていない過去が、きっとまだまだたくさんあるのかもしれない。思い出さないだけで私の中で眠っている記憶が。
でも本人が思い出さない記憶というのは、本人にとって無いに等しい過去になる。ということは、過去っていうのは私が思っているよりも案外確実なものではなく、けっこう主観的なものなのかもなんて難しいことを考えながら歩いた。
雨が降っていたけど、狭い路地の上にお店の屋根が張り出しているので、足元は悪いが傘がなくてもけっこう大丈夫だった。息子を歩かせると大変そうだったので、夫が抱っこしてバギーは畳んだまま肩にかついで歩いた。
ガイドブックによると、九份の町は「もともと9戸しかなかった小さな集落で、交通が不便なため品物を補充するときに毎回9セットを買うので九ふんという名前がついたという」と書いてある。ふ~ん、そんな意味なのか。
そしてこの町は、映画“悲情城市”(どういう映画か私は知らないが)の撮影に使われたレストランがあったりして、レトロな町並みが有名なのだ。
お店は観光客相手のお店ばかりなのだが、外国からきた観光客が喜びそうな、いかにも異国情緒あふれる雰囲気の路地だ。その雰囲気は、まさに『千と千尋の神隠し』の世界である。
というのも、実はここ九份の町は、あの『千と千尋の神隠し』のモデルになった町だと言われているのだ。たしか愛媛の松山の道後温泉、あそこも『千と千尋の~』のモデルになったと言われていたなと思うが、どっちが本当なのだろう。もしかしたら両方とも本当で、宮崎駿さんは色々なところからインスピレーションを受けているのかもしれない。どちらにしろ、この路地はそういったインスピレーションを受けそうな、妖しいエネルギーがあふれているような気がするのであった。
路地に並んだお店は、食べ物からお土産屋まで色々あるのだが、食べ物屋さんはだいたい似たようなものを売っている。魚のすり身を団子にしてスープに入れたものを“魚丸湯”というらしく、これはこの辺の名物なのかこれを食べさせるお店があちこちにある。魚の練り物系が大好きな私としては、すごく惹かれる料理だ。
もう一つよく見かけるのが、九份名物の芋圓というもの。これはタロイモと小麦粉を練って団子のようにしたものを使ったスイーツで、日本の白玉団子に似ている。これは以前来た時に食べておいしくて感動したので、今回もぜひ食べたい。
同じ料理をを売っているお店でも、すごく混んでいるお店とすいているお店がある。やはり味の差なのだろうか。歩いていると次から次へとおいしそうなものが目に入り、色々食べたくなるのだがとりあえず路地を先に進んだ。
息子は、この妖しくて賑やかな雰囲気の細い路地が怖いのか、夫に抱っこされたまま珍しくおとなしくしている。普段なら自分でどんどん歩きたがるのだが、どうやら用心しているらしい。夫は珍しい光景に興奮し、あちこち写真を撮りながらだったので、ゆっくりゆっくり路地を進んでいった。
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