食べることにすっかり飽きてしまった息子は、椅子から降りてその辺で遊ぼうと、あの背の高い椅子から脱出しようとしていたらしい。
でも子ども用の椅子は、座った後に上からすっぽりテーブルをかぶせるタイプなので、上から抜け出そうとしても上手く動くことができない。そんな様子を見て“どうせ抜け出せられないだろう”とたかをくくっていた。そのため息子が抜け出そうとしているのを無視してご飯を食べ続けていた。
すると、そのうち息子は色々考えた挙句、横の手すりの下の狭い隙間をくぐって抜け出そうと考えたのだ。息子は運動神経がいいのか、それとも体が柔軟でスリムだからか、最初はとても上手に足からするりとその隙間を抜けて出てきた。この時点でも、見ている限りそれほど危なくなさそうだったので、放っておいてご飯を食べ続けていた私だったが、その直後に事件は起きたのだった。
足と体がするりと抜け出てきたのはいいが、なんと最後に頭だけがひっかかってしまい、そこから動けなくなってしまったのだった。
この時点でもまだ、「あ、頭が引っかかって抜けない」なんてのんきに見ていた私だったが、そのうち頭がどうしても抜けずに身動きできず、焦りだした息子がパニックになり、大声で泣いて騒ぎ出したのだ!
この後は、もうあれよあれよという間にレストラン中の大騒ぎに発展。私もさすがに焦りだし、どうしようかおろおろしていたら、レストランのスタッフのおばさんたちが何人も駆けつけてきて、息子の大救助劇となったのだ。
最初はみんな、下から息子を引っ張り出そうとしていたのだが、どうしても頭が抜けず引っかかって出てこない。そこで「引いて駄目なら押してみな」という感じで、上に押しあげてみた。そこでやっと息子の体が椅子から抜け、無事救助となったのであった。
この間、息子はずっと大声で泣きっぱなしだし、何人ものスタッフが周りを囲んでの大騒ぎだったので、レストラン中の注目の的である。ここのホテルは日本人の宿泊客も多かったので、きっと同じ日本人として呆れていた方も多いだろう。私もそばについていながらこの様だったので、ものすごく恥ずかしく、本当に穴があったら入りたいくらいであった(きっと死ぬほどのことではないと思っていたので、心配よりも恥ずかしかった)。
無事椅子から出てきた息子は、しばらく泣いていたもののその後スタッフの方々に優しくあやされ、すぐに機嫌が直った。しかもその後は、ある意味アイドルになった息子。というのもここの女性スタッフたちはとてもフレンドリーで親切な人が多く、ある意味有名になった息子に、その後もちょくちょく声をかけにきてくれたり、バナナやヤクルトなどを持ってきてくれたり、それはもうまるで知り合いのように息子をかわいがってくれたのだ。
それに、先ほどレストランに来るときエレベーターの中で話をした奥さんも、同じレストランでこの騒ぎを見ていたらしく、すぐに私たちのところに飛んできて、一生懸命優しく、息子をあやしてくれたのだ。ただ英語だったので息子は意味が分かっていたかどうかはわからないが。
なお、この時夫はビュッフェの食事を取りに行っていたところで、遠くからこの騒ぎを見た際、息子が椅子から落ちるか何かして、深刻な事態になったと思ったらしい。青くなって戻ってきたが、事情を知って呆れていた。
そういえば、息子は生まれたときから頭が大きかったっけ、なんて思い出す私。息子を出産するとき、最後に頭がどうしても抜けず、私も息子もものすごく苦しんだことを思い出した。実際生まれてから測ってみると、頭の大きさが平均よりも大きかった。それに成長した今も、頭の形だけはまるで頭蓋骨の標本のように立派な形をしているのだ。生まれたときもそのせいで大変な思いをしたが、今もまた同じような経験をするなんて、まったくお騒がせな息子である。
というわけで、結局大事には至らず後になってみれば笑い話になるのだが、それはレストランのスタッフの人たちにとっても同様だったらしい。その後事情を知らないスタッフが現れたりすると、ご丁寧に私たちのところに来て、ジェスチャーつきで先ほどの事件を再現していたりするのだ。言葉がわからなくても、身振り手振りなので先ほどの説明を笑いながらしているのがよくわかった。なお、これは私たちが滞在している間、毎朝繰り返され、ありがたいことにそのときいなかったスタッフたちに申し送りされるのであった。
でも災い転じて福となすではないが、この事件のお陰で、私たちはレストランのスタッフたちととても親しくなることができ、毎朝片言の日本語と片言の中国語で会話を交わすようになった。息子もとてもかわいがってもらい、かえって楽しい旅の思い出となるのであった。
しかしこれ以上何かあっても嫌なので、その日の朝食は早々に退散し部屋に戻るのであった。こんな感じで、朝っぱらからお騒がせな私たちであった。
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