この頃にはお昼も過ぎていて、息子もお腹がすいたみたいだったので、建物2階にある食堂に行ってみた。2階は展望室になっており、そこに食堂や売店もある。うれしいことにはしっこのほうには授乳スペースもあり、これは大変ありがたかった。
外は暑かったので、2階の涼しい食堂に行くとほっとした。とても愛想のいい食堂のおばさんがいて、息子にあれこれと話しかけてくれた。どうやらとても話し好きなおばさんみたいだ。とりあえず息子にうどんでも食べさせようと思い、肉うどんの食券を買い、おばさんに出そうとした。すると息子はどうしてもその食券をおばさんに渡したくなかったみたいで、絶対に離さない。でもそんな息子も笑い飛ばし、「今おばさんおいしいうどん作るから待っててね~」と優しく明るいおばさんであった。
こんな山の上の食堂だから、うどんにはまったく期待していなかったのだが、これがまた優しい味のおいしいうどんだった。ちょっと甘みの強い、でも全体的な味はそれほど濃くないスープで、お腹がすいていた息子は珍しく集中してよく食べていた。おばさんの愛情が入っていたからおいしかったのかもしれない。
私は山を降りて、夫と落ち合ってから宮島のおいしいものを食べようと思っていたため、ここでは息子の分のうどんしか買わなかった。でもおいしかったので私も一杯食べたかったほどだが、ぐっと我慢。
他にあまりお客さんがいなかったせいか、色々おばさんと話をした。おばさんによると、夕べ宮島はものすごい雷で、たぶん山の動物たちは怖くて眠れなかっただろうということ。だから寝不足で、その辺のあちこちで泥のように眠っているということだ。なるほど、そういうことかとあの無防備な猿たちの寝姿を思い出し納得。
おばさんはついでに食堂の脇にある非常階段のところまで私たちを連れて行き、「ほら、ここにも猿が寝ているよ」と教えてくれた。本当に階段の1番上の踊り場に、ここでもべたーっと地面に倒れているような感じで寝ている猿がいた。
たしかに先ほど外で寝ていた猿たちといい、ここで寝ている猿といい、この無防備さはよっぽど眠いからなのだろう。猿も雷が怖いのか、人間と同じだなと思いおかしくなった。
食堂のおばさんは、宮島ではなく船を渡った宮島口に住んでいて、毎日この山の上の食堂まで通勤しているという。先ほどロープウエイで怖い思いをしたばかりの私は、「ええっ!毎日あのロープウエイに乗ってくるなんて、怖くないですか?」なんてバカな質問をしてしまった。おばさんは「毎日のことだから慣れたよ。それにちゃんと管理しているから、風が強かったり危なかったりすれば動かさないし」と当然といえば当然のことを言っていた。そりゃそうか。
おばさんはずっとこの宮島を見てきた人みたいで、「昔の宮島はもっと鹿がいたんだよ。昔はもっと鹿を大切にしていたから車だって入れなかったし」と言っていた。まさに鹿天国だったんだな。
それにしても、宮島に車が入れなかったなんて知らなかった。時代とともにそれではやっていけなくなって、きっと車が解禁になったんだろう。でもギリシャのエーゲ海に浮かぶ小島の中には、たしか今でも車が入れず、ロバなどを交通手段や荷物の運搬に使っているようなところもあるはずだ。だからもしかしたらギリシャやヨーロッパのどこかの国だったら、どんなに不便で非効率でも宮島みたいな島には今でも車を入れなかったのではないだろうか・・・なんて考えたりもした。
あとおばさんは、ご飯を食べる時に出してくれたコップのお水が湧き水であることも教えてくれた。ここでは水がすごく貴重で、飲み水のほかは雨水をためて使ったりしているらしい。ここまでロープウエイで登って来た険しい道中を思えば、納得である。大切にしないと。
こんな感じで食べながらおばさんと色々話をし、食べ終わった後隅にある授乳スペースで授乳し、ロープウエイに乗って麓に帰ることにした。夫は神社での式に出席した後、披露宴まで3時間くらい空く。その間はまた一緒に観光することになっていたので、そろそろ式も終わるかもしれない時間だった。
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