思わず、「ひぇ~、怖い!!」と怖気づく私。でもその途端、息子も「怖い~!」と怖がり出す。そう、小さな子どもというのは、母親の影響をもろに受けるので、母親が怖がるものは子どもも怖がるものなのである。聞いた話では母親が虫を怖がると、子どもも虫嫌いになるらしい。母親の影響力は絶大である。
息子にいらぬ恐怖心を与えてもかわいそうなので、ここはぐっとこらえ、「あっ別に怖くないよ。景色きれいだね~」なんて平常心を装い、怖くないことをアピール。本当は血の気が引き冷や汗も出、胃のあたりが圧迫されるほどの恐怖だった。
すると子どもは単純で、すぐに普通の様子に戻り、窓に張り付いて外の景色を楽しんだりしていた。私はその間ひそかに、このロープウエイに二人きりで乗ったことを、心から後悔したのであった。
このように怖がっている人というのは、たいがいこういうときに最悪のことを考えたりしている。というか、起こりもしない最悪のことを考えるから怖いのかもしれない。私はこの時、風で少しでもロープウエイの箱が揺れると、「ああ、このまま私たちの箱だけ下に落ちたらどうしよう・・・」などということを考えていたのだ。
下にはものすごく深い緑の山が広がっている。人が歩いている姿などはもちろん見えない。というか、この下には人が山登りする山道などないのではないかと思われる。こんなところに落ちたら、万が一生きてたとしても、私は息子を守りきれるだろうか。なんてそんなことを考えぞっとしていたのだった。
こうなると、最初は「私たち親子二人きりで気兼ねなく乗れてよかった」と思っていた小さなロープウエイのゴンドラも、今は逆の思いである。もっと大きくてたくさんの人が乗っていれば、こんな心細い思いをしなくて良かったのにと思うのであった。
とにかくそのときの私は、今すぐにでもこのロープウエイから降りたいというほど怖かった。座っているのに足がすくんでしょうがなかった。そして帰りもこのロープウエイに乗って帰るのかと思うと、本当に嫌だった。どんなに苦労しても、山道を見つけて歩いて帰ろうかと思ったほどである。
こんなことを考えながら、息子の相手も上の空に冷や汗をかきながらロープウエイに乗っていた。そのうちロープウエイは壁のような急な山の斜面に沿って昇るところにさしかかった。
この斜面の険しさが遠くから見ると見るからに恐ろしかったのに、かえってこの部分にさしかかったほうが地面が近くなるからか、急に恐怖心がしぼんでくるのであった。
そして次第に冷静さが戻ってきて、まわりの景色をあらためて楽しんだり、写真を撮る余裕まで生まれてきた。それに麓のほうに目を向ければ、瀬戸内海の海だって見える。恐怖心さえなければ、素晴らしい景色が楽しめるロープウエイだったのだ。
こうして最後はどうにかロープウエイでの空の旅を楽しみ、無事ロープウエイを降りることができたのだった。
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