あとは、私がもっとも聞きたかったこと、島根の人々の地域性のことだった。というのも、島根に来る前に司馬遼太郎さんの『歴史の中の日本』という本で、出雲について書かれた話を読んだからだ。
私の出雲に対する印象は、ギリシャ神話みたいに神話と歴史が混ざったようなところであり、なんだか神秘に包まれたところだということだ。そんな神秘の出雲に関して、司馬さんはとても興味深いことを書いており、私の出雲に対する神秘性をますます強くしたのだ。
司馬さんが書いていたことは、同じ島根の中でも出雲人と石見人はまったく違う性質で、どうしてそれほど違うのかという秘密みたいな話であった。そしてそれは信じられないようなぞくっとするような内容であったのだ。
そこには私たちが学校では習わない歴史があった。そして日本でもそういう歴史というか氏族があるのかというような、私たちがなかなか出会わないような世界があり、まさにどこまでが神話でどこからが現実化わからないようなものだった。歴史が好きな私には、面白くもあるが、ちょっと怖くもあるような内容だった。
その本を読んで以来、どうしてもそのことが気になり、本当に出雲人と石見人というのはそれほど違うものなのかということをガイドさんに聞いてみることにした。でも、司馬さんの本を読む限り、なんとなくタブーの話のような気がしないでもなかったが、気になるので思い切って聞いてみることにした。
するとガイドさんは拍子抜けするほどあっけなく、むしろ嬉々として張り切ってその話に食いついてきた。なんだ、ぜんぜんタブーじゃないんだ・・・。
「ええ~。ぜんぜん違いますよ」と断言するガイドさん。司馬さんの本の雰囲気から言うと、こういう話ってあまり言ってはいけないことなのかなとも思ったけど、どうやらこっちではこの地域の特性というのは当たり前の話らしい。ガイドさんはそれぞれの地域の人の特性を色々教えてくれた。
島根は大きく分けると、3つの地域に分けられ、それぞれ人々の性格も言葉もぜんぜん違うのだという。3つの地域というのは、隠岐と出雲と石見である。
まずは出雲の人々の特徴。ガイドさんによれば出雲の人たちは石橋をたたいても渡らないくらい慎重らしい。人間関係でも根回しをしすぎて疲れてしまうタイプだという。ちなみに竹下元首相がこの出雲人だということ。ガイドさんいわく、まさに出雲っぽい政治家だったということだ(私にはよくわからないが)。ちなみに私たちを案内してくれたこのガイドさんも出雲の人だった。
次に石見人。出雲人にくらべ、石橋をたたかないでいきなり渡ってしまうタイプだという(笑える)。渡ってから考えるタイプだ。だから政治家には向いていないとガイドさんは言っていた。ガイドさんの話が本当だとすれば、竹下元首相は出雲人だったからこそ、あそこまで行けたということか。
そういえば隠岐の人の特徴はぜんぜん聞かなかったので、こっちも聞いておくべきだったとあとで後悔。あそこもとても古い歴史がありそうなところなので、かなり面白い話が聞けただろう。残念である。
司馬さんの本を読むと、これらの地域の人々の間には色々な因縁がありそうだったが、ガイドさんの口調を聞いていてもそれは十分想像できた。でもたぶんガイドさんの言う違いというか因縁みたいなものは、司馬さんが書いていたあまりにも深い歴史の因縁とはまた違ったものなのだろう。近くにいるからこそ色々ライバル視したり、仲が悪かったりする、そんな感じのものなのかもしれない。
ガイドさんは「石見の人と私たちはぜんぜん性格が違いますよ」と強く言っていたが、外から見ているだけではわからない内輪の事情を少し覗き見た気がして面白かった。司馬さんの本に書かれている内容の真偽までを聞くことはできなかったが、この違いの話だけでも十分満足であった。
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