朝になり、胃の痛みもなくなり、すっきりと元気になった私。睡眠ってすごく大事なことだなーと今更ながら痛感した。ちょっとした体の不調は、ちゃんと眠ることによってかなりの部分が治ってしまうのだ。人間の自然治癒力って素晴らしいと改めて思うのだった。
息子も起きたので、ゆっくり出かける準備を始めた。素泊まりなので朝ごはんはついていない。500円出せば朝食も頼めるのだが、この辺なら外にいくらでもお店があるので外に朝食を食べにいくことにしたのだ。チェックアウトは10時。それまでに朝ごはんを食べに行ってきて、それからチェックアウトして旅館を出ることにしたのだ。
ところが準備をしていたところ、息子が突然便意をもよおしふんばりだした。ちなみに息子はまだオムツをしているので、部屋で頑張りだした。
他の旅行記にも書いてあるのだが、うちの息子は便秘症である。どうやらそれは夫ゆずりのものらしく、夫が小さい頃そうだったみたいだ。最近ご飯を食べる量が増えて、だいぶスムーズに出るようになったのだが、出かけたりして環境が変わったりするとたちまち便秘になりやすい。そしてそれをほっておくと便が固くなってしまい、ますます出にくくなってしまうという流れになってしまうので、気をつけなければならないのだ。
実は旅行に出る前日、息子が2歳児クラスに通っている幼稚園で運動会があり、それに参加していた。それのためか一昨日からウンチをしておらず、昨日も旅行に来てしまっためやはり出ていない。2日間出ていなかったのだ。
そして今朝やっともよおしたのだが、2日間たまって固くなってしまったのか、かなり頑張ってもなかなか出ない。部屋のテーブルにつかまり「う~ん」と力んでいるのだが、いっこうに出てくる気配がない。息子も集中して頑張り続ければいいのに、飽きてしまうのかそれとも便意が遠のくのか、時々踏ん張るのをやめて遊びだしてしまう。
もう出ないのかと思い、「さあ出かけよう!」というと、「いや!ウンチが出る!」と言って怒るのだ。こうして出かけたくても出かけられず、ただひたすら私たちは息子のウンチが出るのを見守るしかないのだった。
7時頃に踏ん張りだしたので、まあ遅くとも8時は出かけられるだろうと最初は楽観的に待っていた私だが、いつの間にかその8時も過ぎてしまった。さすがにイライラしてくる。どこかでゆっくりと朝食をとり、それからもう一度旅館に戻ってきたかったのに、これではその計画もあぶない。
息子に当たっても仕方ないのだけど、ついつい口調が厳しくなってしまい、「ねえ、まだなの?」と言ってしまう。それを聞いて息子にはめっぽう優しい夫は、「そんな言い方はないだろう」と怒り、どんどん険悪な雰囲気に。
ただ待つだけでもイライラするのでテレビでも見て時間をつぶしたいところだけど、この旅館、テレビは有料。1時間100円なのだ。そこまでして見たいわけでもないので、またひたすら待つ。
そのうち9時になってしまったので、これは本当にまずいのではないかと思い、もしかしたら何か冷たい飲み物でも飲めば刺激で出るのではということで、夫に近所のコンビニで野菜ジュースを買ってきてもらった。
夫が部屋を走り出た途端、息子が顔を真っ赤にしてかなり強くいきみだした。そしてその直後、洋服の上からでもわかる程ぼこりとお尻が膨らみ、無事大量のウンチが出たことがわかった。慌てて夫を呼び戻そうと思ったけど、そのときは既に夫は旅館の外に走り出たあとだった。
ウンチが出た途端、息子もすっきりしたみたいで途端にご機嫌になる。お腹もすいたみたいで持って来ていたスティックパンを食べだしたほど。良かった良かったと私も胸をなでおろし、台湾旅行の時のように最悪な事態にならなかったことを喜んだ。
夫もすぐに戻ってきて、オムツも換えたし息子も機嫌が良くなったところでやっと朝食に出かけることにした。でもこの時点でもう既に9時をだいぶ過ぎていた。思わぬ計画の変更である。子連れ旅行にはつきものではあるが。
これでは朝食を食べてチェックアウトの10時までに戻ってくるのは大変なので、あきらめてこのままチェックアウトすることにした。荷物をまとめ、下に降りる。チェックアウトといっても鍵を返すだけのもの。帰りもスタッフや女将さんがにこやかに見送ってくれた。古くて快適な設備とはいえない旅館だけど、暖かくてなんとなく懐かしくほっとする旅館。なんと言っても東京のあまり見えない面を見せてくれるような気がして、そこがすごく気に入った。ぜひともまた利用したいと思うものだった。
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