入り口のところに入場券の券売機がいくつも並んでいるのだが、そこにはそれほど長くないものの列が並んでいる。やっぱり休日は混んでいるのだろう。少し並び、チケットを買う。大人600円、小学生以下は無料。都立だからか、思ったよりも安いのが嬉しい。
今回息子には、「動物園にゾウさんやライオンさんを見にいくよ~」と言ってあり、動物好きな息子は楽しみにしていたようだ。待ちきれない様子だった。
ゲートを入り、とりあえず右側の方に檻が並んでいるのが見えたのでそちらのほうに歩いていった。見るとそこらへんは色々な鳥がいた。そういえば小学背の頃上野動物園に来た依頼だが、たしか入ったこの辺には鳥がいたような気がすると思い出すのであった。
最初のほうの檻は、それほど珍しくない鳩などが入った檻である。でもなぜか息子はそのあまり珍しくもないような鳥たちをしばらく立ち止まり、じーっと眺めていた。
そのうち自分でもはたと気づいたのか、こちらを振り返り「これじゃなくてライオンさんとかトラさんが見たい!」ともっともなことを言い出したので、先に進んだ。
その先に進むとトンネルのようなところがあり、人がたくさん群がっていた。「これはもしかしてパンダ!?」ではないかと思い、足を早める。するとそこの壁に「残念ながらパンだの○○は亡くなりました」というようなことが書かれたポスターが貼ってあり、パンダの代わりにそこはレッサーパンダの展示室となっていた。
ここに来るまで上野動物園のパンダがいなくなったことを知らなかった私は、少なからずショックを受けた。パンダがいない上野動物園なんて・・・。息子にも見せてあげたかったのでがっかりである。
まあ代わりにいてくれたレッサーパンダもかわいくて良かったのだが、やっぱりパンダほどのインパクトはなかった。でもレッサーパンダってテレビで見るよりずっとかわいかった。もっと丸々としていて、ぬいぐるみがそのまま歩いている感じ。
あの見た目でふうたくんみたいに立ち上がったりしたら、そりゃ世間も騒ぐだろうな~って今更ながら思った。
それにしてもこのパンダのトンネルに近づいたとき、やはりここも小学生の頃の記憶がふとよみがえり、「たしかここにはパンダがいたはず」とすぐ思い出した。鳥の檻といいパンダの展示室といい、我ながら何十年前のことを覚えていたのにびっくりした。
パンダはいなかったので、少し見てまた先に進む。園内の地図はもらっていたけど面倒だったのでまだ見ていなく、適当に歩いていた。するとすぐにゾウのところに突き当たった。
「よし!これならわかりやすくていいだろう」と思い、息子に「ほら!ぞうさんだよ~」と教えてあげる。もちろん息子は本物を見るのは初めて。手すりにかじりつき、しばらくの間じっと眺めていた。でもすごく興奮して喜ぶ様子はない。妙に淡々としていた。
見飽きたようなので次に進む。少し歩くと今度はサル山に行き当たった。ここもたくさんの人が手すりのあたりに群がってサル山を見ている。息子と夫が人垣の中でサルを見ている間、私は後ろのほうにあるベンチで座って待っていた。ここに来るだけでもう疲れてしまった。妊娠中は体が重い。
サル山の前にはちょうどご飯を食べられる広場や売店があったため、特にたくさんの人がいた。空いているベンチを探すのが大変なほど。
とにかく休日の上野動物園は人が多くて驚いた。ディズニーランドに負けないのではないかと思ったほど。
休んでいる間にもらった園内マップを見てみた。すると見たかったライオンやトラの檻はもっと奥のほうにあったらしい。そっちに戻ってもいいのだけど、サル山からは園内のモノレール乗り場がすぐ近くで、たぶんそれを見てしまったら息子は絶対にモノレールに乗りたがるだろう。というのも上野動物園にあるモノレール、息子は本で見て知っていて、今回これに乗るのをすごく楽しみにしていたからだ。
今私たちがいるところは東園で、モノレールが東園と西園を結んでいるのだ。ライオンやトラは東園のもっと奥のほうにいるのだが、とりあえず先にモノレールに乗って西園に行き、帰りにライオンやトラなどを見て帰ることにしよう。
サルに飽きた息子が私のところに走ってきた。夫に「どうだった?喜んだ?」というとやはり「そうでもない」という。淡々と見ていただけだという。それも仕方がないのかもしれない。というのは、6月に広島の宮島に旅行したとき、すぐ目の前に野生のサルがいるところに出くわしてしまい、かわいいサルの赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲んでいるのを間近に見た経験があるのだ。あの時の経験にくらべれば、今日のサル山ははるかに色あせて見えたのだろう。あの時はあんなに「お猿さん!お猿さん!!触ってもいい?」なんて興奮していたのに、今日はあまり興奮しなかったようだ。
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