旅館の周辺の繁華街は夕方になり、さらに賑やかになっていった。たくさんの人が行き来している。そんな中を歩いて旅館に戻った。
玄関を入って右のところに、帳簿台みたいなところがあり、そこでチェックインする。さっき来た時女将たちと話をしたせいか、息子はやや緊張気味で固くなっていたものの、今度は小さい声だったが「こんばんは」と挨拶できた。
部屋は2階の206号室だと言われ、案内される。玄関を上がると右手にすぐ階段がある。木でできた古い階段を上がり2階へ。
2階は真ん中に狭い廊下がまっすぐに通っており、その両側にまるで昔の下宿みたいにいくつかの部屋が並んでいた。
なんだか昔のドラマや漫画で見たことがあるようなつくりだ。その中の真ん中辺にある206号室へ案内された。
普通の旅館だと、部屋のドアを開けると玄関みたいなスペースがあり、ふすまをあけて部屋が現れる。ところがここは廊下のドアを開けると、そこはもういきなり部屋。古い感じの6畳間があるだけだ。旅館というよりも普通の家の一室を借りたような感じである。
6畳間の古いけどまあ普通の和室なのだが、何か妙に違和感を感じると思ったら、部屋が暗いということに気づいた。それもそのはず窓はあるものの、そこからまったく光が入ってこない。外に鎧戸か雨戸でもあってしまってるのかと思ったら、どうやら隣の建物の壁がすぐそこにせまっていて、いっさい光が入ってこないみたいなのだ。さすが大都会!あとで窓を開けて見てみたら、隣の壁に手が届きそうな近さだった。
ついでにトイレと洗面所とお風呂の説明もされる。トイレと洗面所は2階の廊下の突き当たりにあるみたいで、その洗面所のところにもう一つ階段があり、そこから1階に下りるとお風呂があるという。なおお風呂は準備ができれば電話で呼ぶので、そしたら入ってくれという。だから出かけてもいいけど、なるべく早く帰ってきてほしいというとも言われた。普通の旅館とはやはりだいぶ違うみたいだ。
案内してくれた女性が行ってしまうと、3人でにやりと顔を見合わせた。息子もそれまで緊張していたのかおとなしかったけど、いなくなったとたんすごく嬉しそうな顔になりはしゃぎだした。どうやらここがとても気に入ったみたいである。さすがである。
私たちもあらためて部屋を見回してみた。6畳一間で端のほうにいつでも布団が敷けるようにセットして二つに折っておいてある。どうやら寝たくなったらあとは自分でやるらしい。
どこを見ても古臭くて決してセンスがいいというような部屋ではないけど、不潔感とかはまったくない。トイレも洗面所もお風呂も共同で面倒だけど、考えてみれば昔外国を貧乏旅行していた頃は、そんなのは当たり前だった。壁は薄く、ドアの上には配線を通すための隙間もあるので、部屋の声は廊下に筒抜けだろうけど、そういうことも全部ひっくるめても私たちはけっこう気に入ってしまった。今の日本、こういう経験ってかえってできないものだ。息子にとってもいい経験になるだろう。それにこの宿のアットホームな雰囲気が何より良いと思ったのだ。
少し休んだ後、また出かけることにした。というのもこの宿は素泊まりで8400円なので、夕食などは出てこない。ご飯を食べに出かけることにしたのだ。2階には他に何組かの泊り客がいるみたいなのだが、宿の人の話によるとやはりみんな出かけているという。どうりで静かなわけだ。たぶんご飯を食べに行っているのだろう。
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