実は東京駅に着く頃には、息子の目やにはさらにひどくなっていた。両目ではなく左目だけなのだが、黄色から緑色の目やにがかなり大量にどんどん出てきて、充血もしているし、眠ったあとには目が開かないくらいひどくなっていたのだ。
いつもは大きな息子の目が、痛々しいことになっている。これはもうどうみてもただの目やにではない。なんだか大変なことが起きていそうだったので、家に帰る前に、近所の土日もやっている(なんてありがたい!)眼科を受診することにした。
子どもがいるので旅行に母子手帳と一緒に保険証や乳児医療証を持ってきていたのだが、それがとても役に立った。普段は面倒くさくてこんなの持ち歩かない私なのだが、今回は身をもってその必要性を感じたものである。
若い男の先生は、息子の目を見るなり、「これはけっこうひどい結膜炎ですね。風邪とか引いていない?」と言ってきた。そういえばここ何日かずっと鼻水と咳が出ているのでそのことを話すと、「たぶん風邪を引いて体の抵抗力が弱ってしまっていて、汚い手で目を触ったところ結膜炎になったのだと思う」というようなことを言っていた。
なるほど~、である。普段だったら多少汚い手で目を触ったところでどうもないのだが、免疫力が弱ってくるとこうなるのだ。そして先生はこうも言った。「これはけっこうひどい結膜炎だから、もしかしたらウイルスに感染している可能性もある。一応抗生物質の目薬を出しておくけど、2~3日しても目薬が効かなかったらウイルスに感染しているということです」と。
ウイルスに感染している場合は、基本的に特効薬とかはないので、自然治癒を待つしかないとのことだ。だから治るのに2週間くらいかかるというのだ。そして息子の体を心配してくれた先生は、「月曜日にもう一度来てください。それと免疫力が弱っているので、ちゃんと小児科を受診して根本的な風邪の治療もしたほうがいいですよ」とも言ってくれた。
こうなってくると、色々な心配や罪悪感が頭の中をよぎった。実は旅行に行く数日前まで、私と息子は私の実家にしばらく里帰りしていたのであった。そこで実家に遊びにきていた姉の3歳と1歳の子ども達と毎日のように接していたのだ。
姉の子どもたちは二人とも保育園に通っている。保育園に子どもを預けているお母さんならわかるだろうが、保育園というのは良くも悪くも子どもたちが色々な菌を持ち寄るので、色々な病原菌の温床みたいになっているのである。だから子どもが保育園に通い始めると、しばらくの間保育園から色々な菌をもらってきて、風邪などの感染症を繰り返したりするものなのだ。それもけっこう強烈なものを。
だいたい1年くらい通うと、幾多の試練を乗り越えて免疫力がつき、めっきり丈夫になるのだが、通い始めはけっこう大変だったりするものなのだ。
1歳になったばかりの姉の次女が、まさにこの時この状態だった。よく風邪を引いて鼻水をたらしていたりしたのだ。そんなところに私と息子が里帰りをしたので、「もしかして風邪がうつったのでは・・・」という思いが私の中をよぎったのだ。
それに、私にとって実家は長年住んだ心休まる場所なのだが、息子にとってみれば家以外の見知らぬところである。それに私の実家は東京からすぐ近くであるので、大人であればたいした移動距離ではないのだが、やはり5ヶ月にも満たない息子はそんな移動距離も負担になっていたのだろう。しかも実家から帰ってきてすぐに、私たちは下田の旅行に出かけたのだから、ここ数日移動ばかりだったのであった。しかも下田に行く日は、土砂降りの雨で肌寒い日・・・。
これだけ条件がそろえば、風邪を引くのも当然であった。私の頭の中では、自分にあわせてハードな日程で、実家帰りや旅行を敢行してしまったこと、私の配慮が足りなかったこと、なぜ風邪気味なのに雨の中旅行に来てしまったのか、などなど自分を責めるようなことばかりが浮かんできたのであった。
他人からすればたかが結膜炎だし、たかが風邪である。病院で看護師をしていた頃の私であれば、もっと重症な患者さんたちを日常茶飯事で見ていたので、こんなのたいしたことないと一蹴したであろうこと間違いない。結膜炎や風邪でものすごい心配をしている親を見たら、内心笑っていたかもしれない。
しかし、親というのはこんなたかが結膜炎や風邪でも、初めてかかったりすると非常に動揺し、もしものことなどを考えて非常に心配してしまうのだということを身をもって感じることができた。本当にこれは他人の冷静な目ではわからないことであった。
しかしこんなに心配している私に、眼科の看護師さんは明るく接してくれて、必要以上に不安をあおらないところがとても良かった。帰る時に、「先生に小児科にかかるように言われたのですが、この辺で土曜日でもやっている小児かってありますか?」と聞くと、救急指定病院しかまずやっていないだろうとのこと。
がっかりする私に、看護師さんは笑顔で「大丈夫ですよ。このくらいなら月曜日まで待ってそれから近所の小児科にかかれば平気です!」と太鼓判を押してくれたのだった。
冷静ではなくなり、不安モードに入っている親にとって、医療者の冷静で的確な判断により安心させてくれる言葉は、本当に何よりもありがたいことだと本当に実感した。以前看護師をしていた頃の私は、果たしてこういう声かけをちゃんとしていただろうか。今後看護師に戻ったなら、こういう声かけができる看護師になろうと心から思う私であった。
帰ってからの息子は、鼻水と咳で多少苦しそうにしていたものの、普段と変わらず元気もあり、よく眠っていた。そんな息子を見て、だんだん安心してくる私たち。気分的に楽になったので、その夜息子が寝た後、私はのんきにテレビを見たりして、くつろいでいた。
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