露天風呂はどうやら浴槽が２つあるらしい。一つは屋根がついているが、もう一つのほうはついていない。屋根のついているほうの露天風呂には２人の先客がいた。
外に出てみると相変わらず雨はけっこう強く降っていたが、中の温泉でだいぶ体も熱くなっていたので、私はせっかくだから誰も入っていない屋根のないほうの露天風呂に入ってみた。屋根のないほうの露天風呂は船の形をした浴槽だった。まるでクルーザーの小型版みたいな感じ。数段の階段がついており、それをつたって入るので、なんとなくプールに入る感じがしなくもない。それに屋根がついていないまったくの屋外だからだろうか、こちらの露天風呂に入るときに、気のせいか若干塩素の匂いがしたような気もした。気のせいだったら申し訳ないが、これはやはり衛生上仕方のないことなのかもしれないと思い、あまり深く考えないようにした。
船の形の浴槽に入ると、壁にボタンがついており、これを押すと数分間ジェットバスになった。底から泡がわきあがってきて、さらに優雅な気分になる。
こうなるともはや、本当に自分はクルーザーに乗っていて、クルーザーについているジェットバスつきのお風呂に優雅に入浴している気分になってきた。これにシャンペンがあればもう言うことなしの演出である。
この船の形の露天風呂は、旅館のある小高い丘の海に面した突端にあり、このままこの船で斜面をそりのように滑っていき、太平洋に船出していきたい気分であった。まるで『未来少年コナン』の最後の場面、島の丘の上から船出をするシーンのように（これを知っている方はあまりいないかも？）。
冷たい雨に打たれながら、暖かい露天風呂で海を眺める、これもまた楽しいひと時であった。
温泉を楽しみ部屋に帰ると、時間はもう17時半になっていた。食事まであと30分。息子は20時には寝かしつけたいので、夫が食事前に急いで部屋の内風呂で息子を入れてくれることになった。ついでに自分も内風呂に入ってしまい、温泉は明日の朝楽しむからいい、とありがたいことを言ってくれた。
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