電車を降りてホームから出ようとすると、なんと改札は黒船の形をしていた。
そういえば下田といえば、あのペリーが黒船で来航した町である。その黒船の改札を抜けると、目の前にはそれぞれ旅館やホテルの名が書かれた暖簾を持った各施設のお迎えの人たちがずらりと並んでいた。
これも普通の駅では目にしない光景だ。こうしたもてなしは観光地に来たという気分を盛り上げてくれるので、とても嬉しいものだ。平日のしかも雨降りの肌寒い日に来た私たちとしては、気がつくと盛り下がりそうな気分になりがちだったので、この光景がやけに嬉しく感じた。
黒船の形をした改札を一応写真に収めたり、駅の写真を撮ったりなどしていると、旅行にきた実感が湧いてきてまた気分を盛り上がってきた。それから私たちの宿泊する予定である下田大和館の暖簾を持っている人がいるかどうか探してみる。するとすぐにその暖簾は見つかり、暖簾のおじさんに声をかけてみた。
おじさんはとても腰が低そうな優しそうな人で、私たちの名前を確認すると、駐車場に停まっているマイクロバスを指し示し、あのバスに乗って待っていてくれという。
バスまではほんの10メートルくらいの距離だったが、雨はまだ相変わらず激しく降っていた。息子をスリングに入れて胸に抱えていた私は、傘をさして息子が濡れないよう気をつけながら歩いたが、バスの入り口と隣に停車しているバスが近かったため傘をたたむしかなく、結局私も息子も乗る直前に雨に濡れてしまった。
電車の中から大人しく眠っていた息子も、突然雨が自分に降りかかり、驚いて起きて泣き出してしまった。慌ててバスに乗り込んだら、こんな雨の平日にはほかにお客さんはいないだろう、という私たちの予想に反して、バスの中には思った以上のお客さんがすでに乗り込んでいたのだった。
予想外の大勢の視線と赤ちゃんが泣き出してしまったという状況に一瞬たじろぎ、胸に赤ちゃんを抱えた私と、ベビーカーやら他の大きな荷物を持った夫は、ぎくしゃくしながらバスの一番奥の席にそそくさと座り、大人しくしていた。
それから数分して、すべてのお客さんがそろったのか、先ほど駅で暖簾を持っていたおじさんがバスに戻ってきて、やっと旅館に向けて出発した。私たちはどうにか息子をあやして泣き止ませたが、早く旅館についてほしいと冷や冷やしながらバスに乗っていた
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